-改修の記録①-
『トイレ』
宙に浮く手洗い 編
少しづつ家の、お店の改修の記録を。
第一回目はトイレのこと。
トイレ
この空間は極小の空間における人間が一生の内で1番長く時を過ごす部屋だと思っている。
この空間で読書をしたり新聞を読んだり瞑想をしたりと他にも様々なことをしているという人は意外にも多いのではないかと思う。
これまでに本当に数多くのトイレを見てきた。店舗などに於いてそのお店の外装、内装はコンセプトに沿わせて作り込んでいるのにトイレだけは見落とされているのでは、、と思うことが多々ありその度に自身がもしトイレの空間を作るならといつも考えていた。
トイレに於いて便器で個性を出すのは難しくどこのメーカーさんも大体のフォルムは一緒。ならばここはやはり一番信用出来る(と自身では思っている)TOTOさんのネオレストを導入。
床はモールテックス、壁は土壁とどちらも珈室からの連なりを意識したトーンに。
そして一番に拘ったのが手洗いの設備。
ここは保健所の問題もあり基本的に独立したその設備が必要でありここもメーカーさんが一般的な形のものをセット販売などされているがここについては「遊べる」余白があると思った。
陶器、金属、ガラス、木、FRPなど色んな素材を検討する中で以前泊まったある施設でずっと印象に残っているものがあった。
その素材が「石」である。
ただ石を使用するのであれば必ずやりたいことがあり、それは
・所謂人工的なものではなく自然の場からひょっとそのまま持ってきたようなもの
・それ自体をアートピースの様にかつ使い勝手もという造形美と機能美を満たすこと
この点に於いて石を宙に浮かすことが自分の中の絶対条件であった。
これらの難しいことの相談に乗ってくれたのが
北信州移住前に住んでいた神奈川は真鶴半島に在る
【 竹林石材店 】である。
@takebayashistonemasonry
竹林石材さんは神奈川県の南西部、地図上の形がツルに似ていることから付けられた真鶴半島に在りそこでは本小松石というここでのみ採掘される上質な石材がある。
ここに何度も足を運ばせて頂き石切場の見学、加工場の見学を得て採石場まで行きその自身のイメージに合う石選びからさせて頂いた。
これはと選んだ石の元の重さはおそらく50キロ超え、加工を終えたものも30キロに近いものをどうやって宙に浮かすか。
床に何か台などを於いてその上に石を置きSトラップにしてやる事は確かに簡単ではあるがやはりここだけはこの「石が宙に浮いている」ということを実現したかった。
そこでギリギリのところまで洗面の中を削ってもらい且つ背面部に2つの穴を開けてブラケットで支えるというかなり無茶な相談にも真摯に向き合って頂き共につくり上げたものがこの石の宙に浮く手洗いボールである。
長きにわたってご相談に乗ってもらい「宙に浮く手洗い」を目の前に表現してくださった竹林石材店さんには本当に感謝しかない。
ありがとうございました。
またトイレ空間に於いてもう一つ拘った点は長くなりすぎたのでまたの記録で。
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